研究フォーカス
category
03 障がい者福祉研究-当事者と共に探究するユニバーサルな知
1つの研究対象に複数局面からアプローチする、
人文科学の分析に社会科学的方法論を使う等々― 人間社会学研究科は、学問領域の既存の境界を越えて 新しい知をつくることに意欲的な場です。 |
03 障がい者福祉研究
当事者と共に探究するユニバーサルな知
いま、国内の障がい者人口は1000万人を超えると言われ、障がい者の家族まで加えれば、日本人の5人か6人にひとりは障がい当事者とその家族という時代に私たちは生きています。障がいがあっても「自分らしい暮らし」が実現できるために、障がい者を取り巻く深刻な社会問題や生活問題をさらに解明することが求められています。
当事者主体で地域生活移行の推進を精神科病院に長期入院していた患者さんたちと学生時代に実習で出会い、その体験が原点となって、入所施設や精神科病院からの地域生活移行及び、地域生活支援のあり方を研究しています。ノーマライゼーションを推進するには「私がその環境に置かれたらどう思うのか」という問いが鍵になるわけですが、わが国では入所施設や精神科病院で多くの人が社会的な入所・入院を余儀なくされています。そのことは忘れてはならない社会問題です。一方で写真のように、「街で暮らしたい」という入所者の思いを受けて閉鎖した知的障がい者入所施設を、そのまま資料館として市民に公開している例も見られます。地域で支援することを決めた施設は空っぽになりました。日頃、何気なく用いている「支援」「支援者」とは何を意味するのか、さらには障がい者と対面するときの自分は何者なのか。当事者不在でなく、現実の社会の有りように関心をもちながら研究することが重要だと感じています。 |
三田優子 准教授MITA Yuko |
新しいソーシャルワークの姿をともに 私はソーシャルワーク論を研究していますが、オーソドックスなソーシャルワーク論とは異なり、セルフヘルプ・グループ(自助グループ)、当事者活動、ピアサポート、オルタナティブなどと呼ばれる、援助専門職者ではない、当事者が自分たちの手で行っている活動を研究しています。とりわけ、精神保健福祉領域における活動に関心を向けています。 |
松田博幸 准教授MATSUDA Hiroyuki |
障害者支援にライフコースの視点を 私は、大学院生のころから今に至るまで、中途肢体障害者の心理社会的問題とライフコースという長期的な時間軸から検討してきました。結論の一つとして、障害者になってからの時間が長くなるにつれて、障害に対する意味づけが多層化し、肯定的な解釈と否定的なそれとが両行することがわかってきました。 |
田垣正晋 教授TAGAKI Masakuni |
※「障害」「障がい」の表記法については、社会福祉学においても様々な見解があり、本サイトではあえて表記の統一はしていません。