研究フォーカス

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04 フェミニズム・クリティシズム-「普遍」を問う視点としての 「女性」という方法

logo_focus 1つの研究対象に複数局面からアプローチする、

人文科学の分析に社会科学的方法論を使う等々―

人間社会学研究科は、学問領域の既存の境界を越えて

新しい知をつくることに意欲的な場です。

 

04 フェミニズム・クリティシズム

「普遍」を問う視点としての
「女性」という方法

feminist criticism、 women’s studies、フェミニズム・クリティシズムは、旧来の学問の語る「普遍」を問う視点として「性別」「女性」に意識的です。 社会、文化における「女性性」「男性性」をめぐるシステムや思想を、領域横断的なパースペクティヴで研究することができます。

「社会診断」という視点

 「自然は多様性を好むが、社会がそれを嫌う」と或る性科学者が述べています。「多様な性の有りよう」に関する研究をするうえで重要な視点です。研究の世界を見渡すと、「性的マイノリティ」を主題とする文献には、マイノリティ自身に問題ありとして、その原因の追究や解説をするものが多数です。
 問題解決にしても、例えば「性同一性障害/性別違和症」という疾患概念による治療行為がそうであるように、解決法のベクトルは社会ではなく、個人に向けられる傾向にあります。しかし、マイノリティとされる人々が直面する問題は、もっぱら社会との接合面で引き起こる生活困難です。そんな社会を見つめなおし、社会が理論的支柱とする科学的言説、そこに反映された研究者や専門職者の価値観や信念をクリティカルに読み解く行為、いわば「社会診断」(ソーシャルワークにおける古典的概念)こそ、真理の探究に欠かせないと私は思っています。

東 優子 教授

HIGASHI Yuko
■社会福祉学専攻
指導可能なテーマ例:
社会福祉と女性、性の健康と権利、
性的マイノリティと現代社会、
当事者主権と専門職。


文学における「女性性」の探究

 専門はフランス文学研究ですが、最近は19世紀フランスにおいて少数派の女性職業作家たちを取り上げ、その生涯と作品を当時の女性が置かれた歴史的・社会的背景を考慮に入れながら検証しています。また、男性作家の描く女性像の分析及び女性作家の描く女性像との違い、文学と絵画の相関性(絵画に描かれた女性像・男性像を文学がどのように援用しているか、など)を考察しています。
 このような研究を始めるきっかけとなったのは、19世紀に優れた才能を発揮した女性作家が当時の男性批評家から「女」ではなく「男」とみなされ、「名誉男性」の扱いをされたのはなぜなのか、という疑問からでした。文学作品の中で「男らしさ」「女らしさ」がどのように描かれているのか、その読み直しが必要だと思います。
 日本では社会思想的な分野での女性学研究が盛んに行われていますが、文学の領域は未開拓なように思えます。これまでの文学批評の言説をふまえながら、女性学の視点を取り入れることで、現代にもつながる新しい解釈を見いだせると確信しています。

村田京子 教授

MURATA Kyoko
■人間科学専攻
指導可能なテーマ例:
女性作家研究、フランス文学研究、
文学と絵画の相関性。


ソーシャルワークの視点を「女性の問題」に

 幼い子ども時代と、高齢者となった時期はもちろんのこと、病気や障がいとともに生きることになったときも含めて、人は「ケア」を必要とする存在です。社会システムとしてのケアの研究は、社会福祉学の中心課題です。私は、ケアの役割の多くを女性が担ってきた現実に焦点をあて、だれにも必要なケアを、公正に提供する社会の有りように関心を注いでいます。
 また、人を生かすためのケアの対極にあるのが、暴力です。例えば、パートナー間(配偶者や恋人)での権力関係から生じるDVは、関与する人の生を困難なものにします。その関係から脱却し、暴力のない新しい生活を構築するためにはどんなケアが必要なのでしょうか。これまでDV被害者へのケアではフェミニストカウンセリングが大きな役割を果たしてきましたが、社会福祉学での検討は、実は始まったばかりです。今後、DV被害者へのケアを社会システムである支援施策として実現するには、当事者の持つ「強さ」や環境との相互作用を重視するソーシャルワーク理論の視点が重要になると思います。わたしの研究はそこに焦点を合わせ進めて行きたいと思います。

山中京子 教授

YAMANAKA Kyoko
■社会福祉学専攻
指導可能なテーマ例:
DV被害と社会福祉支援、
医療における女性患者の経験とその支援、
社会福祉支援における女性とケア。


 

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