研究フォーカス
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05 現代文明批判-さまざまな視点からの現代文明批判
1つの研究対象に複数局面からアプローチする、
人文科学の分析に社会科学的方法論を使う等々― 人間社会学研究科は、学問領域の既存の境界を越えて 新しい知をつくることに意欲的な場です。 |
05 現代文明批判
さまざまな視点からの現代文明批判
人間社会学研究科の大きな特徴は学際性に富んでいるということです。3専攻に分かれてはいますが、それぞれの教員は狭い専門領域に閉じこもるつもりはまったくありません。今回、研究分野の全く異なる3専攻の教員に「現代文明批判」という共通の大きなテーマにフォーカスしてもらいました。
アメリカ文学研究とglobalization 私の研究分野はアメリカ文学で、とくにウィリアム・フォークナーという南部作家を研究しています。The Sound and the Fury(1929)やAbsalom, Absalom!(1936)といった作品が有名です。アメリカで唯一敗戦と占領を経験した南部の文化の視点を通して、つねに戦勝国であり続けるアメリカを相対化したいというのが動機でした。 |
相田洋明 教授SODA Hiroaki |
貧困 近年、貧困の世代間連鎖に社会的関心が集まり、2013年には子どもの貧困対策法が制定されました。親の経済状況の差が、子どもの学力だけでなく、「意欲」や「希望」にまで影響を与えることが各種の研究成果によって明らかになっています。子どもがみな同じスタートラインに立てるよう、機会の平等を保障することに対して異論は少ないと思います。しかし、結果の平等についてはどうでしょうか。日本における「貧困観」自体の貧困さ、貧困の自己責任論、誤解にもとづく生活保護バッシングなど、貧困に対する社会の「まなざし」は、子どもの貧困にむけるそれに比べ温度差があると感じます。実際には、子どもの機会の平等を保障することは、親世代の結果の不平等を解決することなしには、達成不可能のはずです。 |
嵯峨嘉子 准教授SAGA Yoshiko |