院生・修了生の声

人間科学分野
– 院生・修了生の声

分野トップ教員紹介修士論文・博士論文テーマ院生・修了生の声

私たちのエピソードをご紹介します!!

竹村景生 さん
人間科学専攻 博士後期課程
(2014年度単位修得退学)

StuTakemura
 

大学院での学び

現職のまま博士課程に飛び込んだ。教育現場の多忙さの中での3年間、もう若くはない自分が、はたして研究を進められるのかという不安をもった。しかし、入学後、その心配も、現職への配慮があり、払しょくされた。
 わたしの研究テーマは、教育における社会認識と自己変容の動的往還の原理を探究することである。教育大学附属中学校の研究として、ESD(持続可能な社会づくりの担い手を育成するための教育)を全国に先駆けて展開し、教科研究にナラティブアプローチを取り入れ、総合的な学習の時間に「地元学」からのアプローチ法を取り入れ、提案してきた。そして、今は、ナラティブアプローチから、教師力の開発を進めようとしている。
 これらの一つ一つの実践の中で、子どもたちは確実に変容していく。その手応えの中で言葉を紡いでいきたい。それを自分の35年にわたる教育実践研究の集約として位置付けるとともに、日本の教育の20年先を提案していくことが、附属教員の矜持であると考えている。
 博士課程での学びの強みは、臨床の現場における「実践報告」に理論的根拠を問いかけるところにある。もちろん、研究テーマについて校内で合意形成し、そのテーマを推進していく悩みも多いけれど、院生時代の年齢差の違うなかまと今でも相談できる。そのつながりは得がたい財産である。そして、府大を出てから、府大で教職科目の講座を持たせていただいた。自分の理論と実践を見つめ直す機会をいただいたと思っている。
 府大の博士課程には、「時間」、「ひと」、「場」がある。そして、出てからのことではあるが、一人の駆け出しの研究者を応援し、自前の研究者を育てる文化が府大にある。これは、現場に戻って、実感したことである。

 


ラメス・ブラサット・パタク さん
人間科学専攻 博士前期課程
(2016年度修了)
(2017年度博士後期課程入学)

 

大学院での研究について

私は、2014年度より1年間大阪府立大学人間社会研究科の研究生として研究を努めてまいりました。2015年4月からより自分の目標であった人間社会研究科へ進学し、自分の研究をもっと深めようとしています。私はネパールの大田舎で生まれ周囲には学校へ行けない子ども達が沢山いました。私は学校へ行けたことで今、日本での留学を実現出来ています。研究テーマは途上国の子どもの教育問題について研究しようと考えております。

大学院へ進学して思うことは、教育について学ぶ環境がとても充実しているということです。伊井ゼミをはじめ他の先生方の講義はグループごとの話し合いや全体での意見交換、discussionしながら、現職の先生方や日本人学生、留学生等の様々な考え方を聞くことができ、他国の人の考え方や価値観、教育的知識を得て、私にとってはとても貴重な時間になっています。本学の教育分野は、ユネスコ国際教育、教育と人権、社会教育、教育哲学等幅広い分野で沢山新しい事を学べています。私は教育分野だけではなく、他の分野の先生方の講義(大形ゼミ、浅井ゼミ、酒井ゼミ)等にも参加し、そこでは現職教員、日本人の院生と他の国の留学生の方々と交流出来るので、自分の分野にないこと、自分にはなかったことを発見し、自分の考え方をより深めることができます。また、いつも困っている時優しくアドバイスして頂いている先生方、先輩方、同期の方々にはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。

大学院の二年間短い時間ですが、将来は日本で学んだこと、得た知識や経験を生かして日本ためにも、ネパールのためにも、両国の架け橋になりたいと考えています。

 

これから大阪府立大学に進学を考えている留学生の方々へ

大阪府立大学は留学生にとって良い環境がある場所だと思っています。勉強面だけではなく、生活面その他色々な相談もでき、国際祭交流課、学生課、先生の方々、先輩、友人などに暖かいサポートをいただいています。ここでは、世界の様々な国の学生に出会えるし、自分の経験、良い事、つらいことなども交換出来て自身のストレスの解消にもなります。そして、自分の研究分野だけではなく、年齢、国籍を超えた多くの人々に出会い、様々な文化、価値観、考え方を持った人々と交流し、自分の世界をより広げることが出来ます。全く異なる文化、言語を使う所で生活をするのは大変ですが、それと同時に経験や知識を得る為には良い機会だと思います。

是非、皆さんも本学の人間社会研究科で研究する機会を持ってみませんか?

 


向楠 さん
人間科学専攻 博士前期課程
(2016年度修了)

 

大学院での研究について

人間科学専攻の魅力的な特色は、様々な知識を幅広く学び、広い視野を持って研究を進むことができることです。

私はフランス文学について関心を持ち、特にメリメの作品に引かれ、彼の描いた生き生きした人物像を研究しています。研究科主催のミニシンポジウムに参加したり、ジェンダー系自主ゼミに参加したりすることで、様々な研究領域に触れる機会に恵まれています。それによって常に新しい視点を見つけ、より深く自分の研究を考えることができます。

 

留学生としての研究生活

また、留学生として、国際交流についても深い興味を持っています。研究科では、日本人の学生達や、異なる国からの学生達と一緒に研究や日常生活において交流し、温かい雰囲気の研究生活を送っています。授業で日本語、フランス語、中国語など、いくつもの種類の言葉を使って意見を共有したこともあり、とても面白い経験でした。先生方の手厚い指導を受けながら、自分の研究を進み、充実した毎日を過ごしています。これからも研究生活を楽しみにいており、頑張っていきたいと思います。

 


杉本和子 さん
人間科学専攻 博士後期課程
(2015年度入学)

 

人間科学専攻のス・テ・キは多様性

人間科学専攻の特色は、先生方にも学生にもとても多様性があることです。

まず、先生方は社会学、思想哲学、教育学、環境、芸術文化などの幅広い専門分野のエキスパートとしてタッグを組んで学びの面白さや楽しさへと誘い、それらの知の世界が実は境界なく連動している奥深さに気づかせてくださいます。そこから得たより広い視野は、自分自身の問題意識を、社会の変革と新しい未来の創造に通じる独創的な研究へと深めていくパワーを生み出していくように感じられます。

また学生も学卒から直接進学してこられたフレッシュな若いみなさんから、世界各国からの留学生、私のように30年近い社会人経験を経てから仲間に入れていただいたアラカン院生まで多様なキャラクターがいて、とても楽しくお互いに刺激を受けながら研究活動をしています。そこには世代を超えた素晴らしい仲間との出会いがあります。

私自身は自らの体験を踏まえてジェンダー系の社会学研究に興味を持ち博士前期課程に入学しましたが、思想系の学びへと視野が拡がり、博士後期課程に進学し、それらを踏まえ現在「戦後日本映画における女性の労働の表象」へと研究テーマを深めつつあります。

あなたも人間科学専攻で多様な知の探究をしてみませんか?

 


大橋眞由美 さん
人間科学専攻 博士後期課程
田間泰子研究室 客員研究員
(2011年度修了)

humStuOhashi
 

これまでの研究活動

私は、2007(平成19)年4月1日に大阪府立大学大学院人間社会学研究科人間科学専攻博士後期課程に入学し、2012(平成24)年3月31日に同課程修了、博士(人間科学)を授与されました。博士論文『近代日本の〈絵解きの空間〉—幼年用メディアを介した子どもと母親の国民化―』は、日本学術振興会の平成26年度研究成果公開促進費学術図書の助成(課題番号265182)を戴き、2015(平成27)年1月31日に風間書房より上梓されました。さらに拙著は、第39回日本児童文学学会奨励賞を受賞することになりました。

博士課程入学までに、私は児童文学・文化学、絵本論の研究者として活動していました。近代日本の絵本を資料としてジェンダー論の立場から論文を書きたいと思い立ち、まずは放送大学大学院に進学し修士を授与されました。その後の博士課程進学について、修論指導者から、幅広い陣容の国公立大学の博士課程を目指すようにと助言を戴き、大阪府立大学の田間泰子研究室の一員になりました。

大阪府立大学では、女性学分野の田間泰子教授(ジェンダー論、家族社会学)、伊田久美子教授(ジェンダー論、イタリアフェミニズム)、浅井美智子教授(ジェンダー論、社会思想・生命倫理)のご指導を戴きました。さらに私の研究テーマの特性から、表象分析では村田京子教授(フランス文学)、歴史的考察では住友陽文教授(日本近現代史)など、幅広い陣容の指導者に恵まれました。

 

学生生活とメッセージ

母介護の為の2年間の休学を含めた在学5年間に、私は、還暦を迎え、時には苦しみながらも、ジェンダー論やフェミニズム論を学びつつ、自身の研究テーマに取り組みました。それは、様々な研究テーマに取り組む若い院生に混じり、ゼミにコンパに、研修旅行にと、何十年ぶりに味わう楽しい学生生活でもありました。

人間や社会、環境や関係性に、何か深い興味や疑問、拘りを抱き、真摯にそれを突き詰めたいと考える方、大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科人間科学専攻の門をくぐってみてはいかがですか。きっと新しい自分に出会えると思います。

 


南茂由利子 さん
人間科学専攻 博士後期課程
(2010年度修了)

 

迷っている方へ伝えたいこと

博士課程をめざしてみたいけど…どうしようかと考えている方に是非伝えたいことが二つあります。

ひとつは、「やってみたいと思った時がまさにチャンス」だということです。「また今度…」と思っているとその時は来ないかもしれません。私自身、博士後期課程に入学する前には本当にやれるかと迷いましたが、挑戦してよかったと思っています。目の前にチャンスがあるならしっかりと捉まえてください。私は、博論を仕上げる最後の1年間は人生でこれほど勉強したことはないと言えるくらい勉強しましたが、知的に非常に面白く充実した時間でした。

そしてもうひとつは、論文の作成は孤独な作業のようですが、ネットワークで乗り切れるということです。指導教員の先生はもちろん、学会で知り合った同じ研究分野の先達や、院生仲間とのネットワークです。私は院生仲間で毎月自主ゼミを行い、1か月の間に自分の読んだ文献の要約や考慮中の論文の構成等を報告し合い、忌憚のない意見を出し合いました。人に説明することの難しさ、また、自分のアイデアをともに面白がってくれる喜び、こういった経験は大きな励みになりました。苦しい時期を乗り越えられたのはこれらのネットワークのおかげです。

そして修了後は、またまたネットワークのおかげで、大学の非常勤講師の仕事に巡り合いました。一つの仕事を引き受けると、さらにそこからまた新たな仕事へと繋がっていく、ネットワークの奥の深さに驚くとともに深く感謝しています。

 

研究テーマと現在のお仕事

私は、人間科学専攻で研究テーマはフェミニズム法学の批判的研究でした。もともとは法学部出身だったのですが、社会人として大阪女子大学の英文科に入り、女性学と出会いました。この二つの学びが大阪府立大でうまく融合されて博論のテーマとなりました。

現在の仕事は、「英語」以外に女子大で「女性と法」の授業を担当しています。これはまさに自分の研究テーマに重なります。来年度からは「憲法と人権」も担当する予定です。みなさんの研究人生にも、きっと新しい展開が待っていると思います。

 


M.I さん
人間科学専攻 博士前期課程

humStuM.I
 

大学院入学のきっかけ

今年度人間科学専攻・博士前期課程に入学しました。私は社会人入試で受験し、年齢は60代半ばを超えています。長年国語の教師を職業としてきましたが、定年退職を間近に控えた頃から、むしろ自分にとって「国語」や「日本語」というものが自明なものではなくなっていった気がします。退職したからといって「終わったこと」にできない自分を意識するようになり、長年「国語」「日本語」に無自覚であった自分に敵討ちをするような気持ちで、受験しました。

 

研究テーマと研究活動

研究テーマとしては、「国語」がいかなるものとして近代日本国家において成立したかを、それに深く関わったとされる上田万年を中心に考えていこうと思って います。研究テーマについて直接指導していただく先生に、テーマから遠いことも密接なことも丁寧に相談にのって頂いています。テーマに関連した一冊の本に ついて、毎週レポートを作成しては先生のコメントを受けながら読んでいった授業は、大切な経験となりました。

専攻には隔月のペースで院生発表会というのがあり、院生が研究の途中経過を発表します。発表の準備は大変ですが、先生方の貴重な助言、問題点の厳しい指摘、励ましが得られるばかりでなく、院生同士の交流にもなり、研究を進めていくよい契機となっています。

約45年前、大学紛争のさなかに「自由大学」の講義として鶴見俊輔の授業を受けたことがあります。その彼の思想を改めて時代との関わりにおいて学ぶなど、思いがけない経験もしています。