教員紹介

人間社会学専攻

人間科学分野 教授伊井 直比呂

研究内容

人権としての教育、UNESCO国際教育、教育政策、ESD、社会科教育

「持続可能な開発のための教育(ESD)」など、ユネスコ国際教育の学校教育への援用や学習権の今日的有効性などを研究しています。例えば、グローバル人材って何でしょう?世界と戦って勝てる人材ってどんな人でしょう?子どもたちにそれを強いる教育は本当に「教育」なのでしょうか?それに参加したくない人はどうしたらよいのでしょう?それは教育の失敗なのでしょうか?ユネスコはむしろEducation for All を大切にし、勝負の教育ではなく、自分の成長と意味を実感でき、「持続可能な未来」を共に創る(共創的)教育を進めています。そしてこのユネスコの精神を実践する学校がUNESCO Associated Schools Project network(ASPnet:ユネスコスクール)です。
現在、加盟校は世界186カ国で9800校(日本には2014年10月現在806校)あります。2014年11月には、UNESCO・文部科学省主催で世界32カ国のASPnet校約160名の高校生によるESDをテーマとしたユネスコ世界大会が開催されました(岡山市)。大阪府立大学は、大阪と岡山の500名以上の高校生による運営と共創的ディスカッションを支援するため、3年間にわたり、理論的・教育実践的に支援してきました。もちろん、学部生・大学院生も、学部・研究科での多様な学びと研究を通して、高校生を支えてくれました。

naoii[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授池平 紀子

研究内容

中国中世における仏教と道教の交渉史を中心とした宗教思想史、具体的には中国撰述仏教経典と道教経典との関係を主な研究対象としています。また、儒教も含めた三教交渉史、さらには民間信仰との関係も視野に入れています。
 中国撰述仏教経典というのは、「疑経」・「偽経」などとも呼ばれる文献群で、中国においてインド撰述を騙って偽作された仏典を指します。よく知られたものとしては、東アジアで広く行われている「盂蘭盆会」、いわゆる「お盆」の所依経典である『盂蘭盆経』などが挙げられます。これらの文献は4世紀から10世紀頃に成立したものが多く、仏典の体裁をとってはいるものの、その内容は儒・仏・道の思想が渾然一体となったものです。
 一方で、道教は成立当初より仏教の影響を強く受けてきましたが、この中国撰述仏教経典を通じて仏教思想を受容することがあり、いくつかの中国撰述経典と道教経典とは鏡像のような関係にあります。また、このような仏・道文献の特徴として民衆への布教を目的として書かれている点が挙げられ、中国民衆が素朴に保ってきた信仰心や日常規範との親和性が見られます。
 三教や民間信仰といった枠組みを解体した先に見えてくる中国思想(広くは東アジア思想)の本質とは何か。それに迫りたいというのが私の遠大な目標です。

メッセージ

 「これが学びたい!」とまだはっきりしたものがなくても構いません。「なんだかよく分からないけど、こっち方面が面白そうな気がする。」という人は一度授業に来てみてください。

n.ikehira[at]las.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授酒井 隆史

研究内容

現代社会を権力論の視点から分析/都市における文化表現

いま私の大学院の研究室には、次のようなテーマに取り組んでいる学生たちがいます。フランスの思想家ポール・ヴィリリオ、1970年代の日本のドキュメンタリー、映画における女教師の表象、大阪の闇市の盛衰、沖縄の近代化について、などなどです。わたし自身の研究も、これらのテーマに通底しているような、思想、文化、歴史のまじわるところに関心をおいています。
いま大学院の演習では、長期的視点、比較史的視点から、資本主義とはなにか、市場とはなにか、貨幣とはなにか、国家とは、暴力とはなにか、などをテーマにして、2011年公刊の人類学者David Graeberによる著作『Debt』(『負債』)の講読を中心におきつつ、さまざまな人類学や民俗学、歴史学の文献を読んでいます。
市場システムや地球環境がふかい危機におちいりながらも次の展望がみいだせず迷走のつづくなか、近現代社会について、いま、人類史的—のぞむべくは地球史的—視野から、大きくとらえ返すことが必要であると考えています。

t-sakai[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授櫻井 俊郎

研究内容

明清時代の政治制度(文書行政)/明末の北辺防衛

toshi[at]las.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授山東 功

研究内容

近代国語政策の歴史的展開/日系移民社会の言語思想史的研究

主に近世・近代の日本語観について研究しています。日本語とは何かという問いは、日本語をどのように捉えているのか、という観点によって相対化されます。この相対化の視点によって、はじめて「日本」や「国語・日本語」といったもののイメージの形成過程が明らかになってくるのだと自分では思っています。
具体的なテーマとしては、近代以降の「国語」のあり方に重要な意味を持つ「学校文法」の成立史や、幕末・明治期国学者の日本語観の中でも、特に「音義言霊派」の言語論に関して考察しています。なお、国語教育に関連して、唱歌と国語との関係を述べた『唱歌と国語―明治近代化の装置―』(2008、講談社選書メチエ)を著したこともあります。さらに、日本語観の相対化を進めていく上で、在外日系移民社会の日本語論や、キリシタン宣教師やお雇い外国人といった外国人の日本語研究などについても検討しています。前者については2009年に共著『ブラジル日系・沖縄系移民社会の言語接触』(ひつじ書房)としてまとめました。後者についても『日本語の観察者たち―宣教師からお雇い外国人まで―』(2013年、岩波書店)として単著を刊行しました。

i-santo[at]21c.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授住友 陽文

研究内容

「大正デモクラシー」の研究、立憲主義思想と国体論の関係論、原子力開発と55年体制の研究

ここ10年ほど行なってきた研究は、ふたつ。日本型君主制のイデオロギー、とくに国体を君民一体とするイデオロギーが国民の「主体」を作り、その「主体」がデモクラシーや立憲主義を支える「主体」ともなりえた点を明らかにし、そのことが戦後象徴天皇制に連続していく点に着目してきた。これがひとつめ。いまひとつは、原子力開発の歴史と、それと深く関係する55年体制成立に関する研究である。

メッセージ

歴史学はあらかじめ研究テーマも方法論も決められていない。自ら興味を持ったテーマを過去に向かって遡及させていき、その関心事の存在根拠や合理性や必然性を根源的に問う学問である。忘れられた事実、未発見の事実を明らかにすることに知的興奮を覚える人を歓迎する。

sumitomo[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授内藤 葉子

研究内容

ジェンダー論/政治思想・社会思想

政治思想・社会思想とジェンダー論の交錯するところで、リベラルな近代的主体と女性との関係を研究しています。とくに、身体的存在として女性を服従化・周辺化させる言説や制度や規範との対抗関係において、女性の政治的・倫理的主体性はどのように、またどのような意味において構築可能なのかを問うています。この問題関心に沿って、西洋思想史における母・子ども・女性・家族に関する見解を再検討し、またケアの倫理を手がかりに、リベラルな近代的主体とは異なる主体の在り方を考察してきました。最近ではドイツ第二帝政期の様々な思想潮流のなかで、女性運動を担った女性たちの思想について研究しています。

メッセージ

今ある世界の形に驚き、「なぜ?」と問いかけ、他者や書物と対話しながら学び、異なる在り方を構想する――そうした思考という営みそのものを楽しんでください。

naito[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授西田 芳正

研究内容

貧困層・マイノリティの子ども・若者の家族・学校・地域での生活と教育・地位達成/社会的排除の学校・地域での顕在化の様態

教育社会学を専門とし、不利、困難さが重層した状況で生まれ育つ子どもや若者の学校生活、地域での生活、大人への移行過程を捉えることで、不平等の再生産 メカニズムを解明し、改善の方策を考えてきました。欧州発の「社会的排除」という言葉を知り、「こだわってきた事柄はこの言葉で言い表せる」と考え、その 後はもっぱら「子ども・若者の貧困と排除」がテーマだと自己紹介しています。
研究手法は、参与観察と生活史インタビュー。大学院時代、ある漁村部落で住み込みの調査をしていたときのこと。真夜中、当地のヤンキー中学生に連れ出さ れ、無免、無灯火(!)の中型バイクに同乗したことがありました。「なぜ、勉強から背を向け、遊びの世界に入っていくのか?」そんな問いについてカラダで 答えを感じ取る絶好のチャンスだったのですが、降るような星の輝きと田んぼ一面のホタルの光のなかで、運転する彼にしがみついていたことしか覚えていません。遠い昔の、ほろ苦いエピソードです。あれから30年間、日々の生活を間近で観る、本人の口からその時々の経験と思いを聞き取ることで、周りからは誤解されがちな生活を描き出すことを目指してきました。

nishida[at]sw.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授東 優子

研究内容

性の健康と権利(トランスジェンダー、HIV/AIDSとキー・ポピュレーション、性教育など)

卒論制作の段階では引用できる文献を探すだけで精一杯、という人が多いものですが、大学院では引用する価値のある文献とそうでないものを見極めることが求められるようになります。科学的言説をクリティカルに読み解く力を涵養する、というのが大学院教育のひとつの目標です。
 私が大学院で学び始めた頃、「教科書や論文に書いてあることを徹底的に疑え」と教えられました。「…である」と「…であるかもしれない」「…であるべきだ」というのは、常に明確に区別されるべきですが、実際はそうでもありません。私の専門は性科学で、とくに「性」に関する語りには、必ずといっていいほど、個人の感情や態度が伴います。そして、そうした個人や社会の都合は、「事実」さえも変色させてしまうことがあります。恩師の教えには、「よい研究者になるためには、あらゆる可能性についてオープン・マインドであれ」というのもあります。心の目を開くには、まず自分自身の価値観や態度と向き直すことが必要になります。ぜひそのプロセスを楽しんでください。

higashi[at]sw.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授前川 真行

研究内容

思想史/政治哲学。都市と国家の形成についての思想史/概念史的研究

maegawa[at]las.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授森岡 次郎

研究内容

教育と優生学/障害者解放運動/教育と福祉の理論や価値の異同についての研究

j-moriok[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 教授吉田 敦彦

研究内容

ブーバー人間学とホリスティック教育・オルタナティブ教育(シュタイナー教育ほか)

atsu[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 准教授乾 順子

研究内容

家族社会学/ジェンダー論/性別分業/社会調査

労働市場や家庭における性別分業の実態を把握し、性別分業が維持され続けるメカニズムとその要因の解明を目指しています。男女がともにワーク・ライフ・バランスを実現するための道筋を、労働市場と家庭における労働の配分と意識の関連によって明らかにするという論文を執筆してきました。例えば、有配偶女性の働き方と性別分業に関する意識が夫との家事分担をどのように決定するかの時点間比較を行った論文では、女性が中核労働市場で働きかつリベラルな意識をもつと家事分担が平等化するという結果を得ています。最近では、ケア・介護の規範の変化や規定要因を全国規模の調査データを用いて計量的に明らかにすることもおこなっています。

inui[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 准教授佐々木 博光

研究内容

ヨーロッパ・ユダヤ人の歴史、迫害と共存、歴史教育、疫病・医療史、フィランソロピー、史料学・史料論

hirosasaki[at]hs.osakafu-u.ac.jp

人間社会学専攻

人間科学分野 准教授山本 由美子

研究内容

生と生存をめぐる思想と技法/性と生殖をめぐる科学技術・社会・倫理/医学と人権/科学とジェンダー

yamako[at]hs.osakafu-u.ac.jp