院生・修了生の声

社会福祉学分野
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私たちのエピソードをご紹介します!!

    • welStuMasui

      博士後期課程
      舞寿之さん
      (2014年度
      博士前期課程修了)
      (2018年度
      博士後期課程入学)

  • welStuMasui

    博士後期課程
    増井香名子さん
    (2016年度修了)


  • 博士前期課程
    今中博之さん
    (2016年度修了)

 

舞寿之 さん
社会福祉学専攻 博士後期課程
(2014年度博士前期課程修了)
(2018年度博士後期課程入学)

welStuMasui

Q:大学院に進学しようとしたきっかけは何ですか?

私がはじめて本研究科のドアを叩いたのは57歳の時です。
当時、府立高校の教頭として多忙な日々を送っていたのですが、定年を間近にしてある想いがフツフツと込み上げていたのです。それは、20年近く続けている地域活動の中で生起してきた問題意識で、「子どもの体力低下や運動・スポーツをする子どもとしない子どもの二極化が問題となっている中、子どもたちが安全かつ自由に運動遊びができる環境がますます悪化しているのではないか。このままでは子どもの健康や活力ある我が国の社会づくりに大きな影響がでるのではないか。地域での子どもの運動・スポーツ環境を改善する対策が必要なのではないか。」というものでした。こうした想いを整理して形にすることとセカンドキャリアを考えて選んだ道が大学院進学で、本研究科を選んだのは吉武先生を発見(失礼ながら)したからでした。
そして、前期課程を修了して3年。縁があって昨年より某私立大学の専任講師として教鞭をとっていますが、再び吉武先生にお世話になることにしました。今さらキャリアアップのためというつもりはなく、前期課程で十分に満足のできる探求ができていなかったというのが大きな理由で、博士論文を元にいずれ本を執筆したいと考えています。
人生百年と言われる時代、こんな学びもいいのではないでしょうか。

 


増井香名子 さん
社会福祉学専攻 博士後期課程
(2016年度修了)

welStuMasui

Q:研究のテーマを教えてください。

DV被害経験のある人へのインタビューから、暴力のある生活から暴力のない生活に状況を変化させ現在の生活に至る経験を伺い、そのプロセスを分析しています。そして分析結果から他者の役割を考察し、支援はどうあればよいのかを検討しています。
(参考:増井香名子2012「パワー転回行動:DV被害者が暴力関係から脱却する行動のプロセス」『社会福祉学』53(3), 57-69)

 

Q:そのテーマを選んだ理由、ご自分の研究分野の魅力は?

このテーマを選んだ理由は、被害者支援の経験の中で、既に言われている支援論に違和感をもち、当事者の経験から支援を考える必要があると思ったことです。もちろん被害者の経験は多様なのですが、当事者の語りを丁寧に分析していくと、多様さをこえて共通する要素がみえてきます。それは、支援において重要な視点ということになります。また、支援者側の思い込みや、よかれと思ってしている対応にミスマッチがあることに気が付きました。一方で、被害者が暴力のない生活を築いていくプロセスは、困難な状況の中でなお、人がもつ強さを改めて感じさせられるものであり、私自身が力をもらっています。

 

Q:大学院に進学しようとしたきっかけは何ですか?

地方自治体の福祉職として勤務して10年を過ぎたころ、仕事に対するやりがいも感じる一方で、行き詰まり感を感じるようになりました。既に支援の現場で言われていることに「何かが違う」と思うのですが、実際それを説明しようとしても言葉を見いだせないというもどかしさがあったように思います。これから先、よりよい仕事を健康的に続けていくための必然として、福祉をもう一度勉強し直したいと思うようになったのが、大学院進学を考えたきっかけです。でも、驚くことに大学院が研究をする場であるという認識は弱く、教えてもらうという受け身の場所ではなく、能動的に研究をするところだということを大学院に入学してから実感して、「えらいところに来てしまった」と思ったことを覚えています。

 

Q:ご研究成果(M、Dを通して)を、どのようにお仕事に活かしておられますか?

個別支援だけでなく、スーパーバイザー的役割や、支援者向けの研修の講師・研修プログラムの作成などを担うことが増えてきました。研究を通して見出した言葉や理論を応用し、支援ツールを作ったり研修などを通して伝えていくなかで、微力ながら支援の基盤作りに貢献できるようになったのではないかと思います。研究でみつけた言葉が伝わり他の人と共有できるという経験をすると研究ってすごいなあと思います。まさしく研究が私の実践を支えてくれています。

 

Q:1週間(1カ月)の過ごし方を教えてください。

仕事が優先の生活です。残業も当直勤務もあります。休日は、まずは体や生活を回復させリセットしてからようやく研究の時間になります。大学に毎日通うことができる専任の院生さんと同じようには時間が取れないことは大前提ですので、早い段階での登る山(目標)を設定して、ぼちぼちと積みあげていくことを意識してきました。研究はたいへんですが、緑豊かな府大に来て、日常から離れられる場所があることで癒されてきました。

それと、正月とゴールデンウィークは少しまとまった時間が取れるので毎回、英文の精読なり、調査結果の分析なり、論文執筆なり何らかの課題を決め、取り組んできました。先にお話ししたように、研究をするためではなく、福祉を勉強し直したいという軽い?気持ちで入学したのに、ドクターにまで進学し、生活の一部と化して研究を続けていることに、自分自身が一番驚いています。研究に出会い実践に言葉を見いだす醍醐味にはまったのだと思います。

 

Q:大阪府立大学大学院の魅力は?

多様な学び方を保障してくれるところです。院生の中には学部からの進級してきた人や留学生、子育て中の人、私のようにフルタイムで働く者などいろんな人がいますが、その人なりの形で研究を進めることができるところです。私は、長期履修制度があったことで研究を続けることが可能でした。一方、皆が同じペースではないので、時間のマネージメントや研究の進行管理は自分でしていくことが求められる厳しさもあります。

もう一つの魅力は、ゼミも授業も小人数です。マスターとドクターは別のゼミに所属しましたが、どちらの先生も私の思いやペースを尊重したうえで、研究に関して適切な助言をくださいます。尊重を感じられる中で研究ができることを、とても幸せに思っています。

 

今中博之 さん
社会福祉学専攻 博士前期課程
(2016年度修了)

Q:研究のテーマを教えてください。

私の研究テーマは、「臨床宗教師」の活動を通して「日本における仏教ソーシャルワーク価値」を問うことです。

 

Q:そのテーマを選んだ理由、ご自分の研究分野の魅力は?

根源的苦悩を抱える方が、仏教に救いを求める姿を数多くみてきました。私は、身体に障がいがあるのですが、仏の教えに救われた一人です。東日本大震災をきっかけとして生まれた臨床宗教師は、仏教を主体的契機とした「仏教ソーシャルワーク」を被災地で展開しました。「なぜ、彼は死んでしまったのだろう」「なぜ、私だけ生き残ったのか」。そんな不条理で不合理な語りは、科学を無力化します。しかし、仏教ソーシャルワークは、その答えのない問いに正面から向き合い、寄り添います。日本のマネジメント化しつつあるソーシャルワークは、個別の支援に止まり、貧困や差別の拡大・深化に対して具体的な取り組みを示せていません。仏教ソーシャルワーク価値を問うことで、ソーシャルワーク本来の社会正義や人間性の回復というマクロな価値基盤を再考したいと考えています。

 

Q:大学院に進学しようとしたきっかけは何ですか?

私は、社会福祉法人の理事長を兼務しながら、障がいのあるアーティストが通って来られる施設を運営しています。日々、社会福祉の政策論や技術論で喧々諤々です。時に意見は空中分解します。議論に「そもそも」の幸福観や仕事観が通底しないのが原因だと感じています。そこで、社会福祉学の原理論や福祉哲学のゼミで「そもそも」を学ぼうと思い大学院に進学を決めました。
(私の職場は以下です。社会福祉法人 素王会 アトリエインカーブ http://incurve.jp

 

Q:1週間の過ごし方を教えてください。

大学院には、週に2日間ほど通っています。また、夏休みなどの長期休暇を使った集中講義は、日程調整が可能なので非常に助かります。最近は、公務で東京に出かける機会が多くなりました。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の「エンブレム」委員や「文化・教育委員会」委員、厚生労働省・文化庁の「障害者の芸術振興に関する懇談会」委員をしています。私の小さなソーシャルアクションです。施設の運営と大学院の勉強と公務をこなすのは体力的にタイトですが、これもご縁。流れにお任せしています。

 

Q:大阪府立大学大学院の魅力は?

個人対個人で議論できるところが最大の魅力です。ゼミは少人数で運営され、それぞれが言いたい放題。違った観点や生き方を学ぶにはもってこいだと思います。また、教授陣との人間的距離感が近いので驚きました。直にお会いする時間がない場合は、メールで意見を交わすこともあります。とてもフレンドリーな先生が多い印象です。