Professor
専攻分野
フランス文化 フランス文学(特に19世紀文学) 幻想文学 文学とジェンダー
担当授業
【学部】
文化形成論入門3
文献基礎読解4A
フランス文学の世界1
フランス文化演習1A1B
文化形成論卒業研究演習AB
【総合教育研究機構】
フランス語基礎 I・II
フランス語会話Ⅰ・Ⅱ
ジェンダー論への招待
【大学院修士】
フランス文化特論2A・2B
【大学院博士】
フランス文化研究1A・1B
主要著書・論文
【著書】
1.『娼婦の肖像— ロマン主義的クルチザンヌの系譜』(新評論、2006)
2.Les métamorphoses du pacte diabolique dans l’œuvre de Balzac
(Osaka Municipal Universities Press, Klincksieck, 2003)
3.『テクストの生理学』(共著)(朝日出版社、2008)
4.France-Japon : regards croisés(共著)(Peter Lang, 2007)
5.Les héritages de George Sand aux XXe et XXIe sièles (共著)
(Keio University Press, 2006)
6.Balzac Géographe Territoires(共著)
(Christian Pirot, France, 2004)
7.『バルザックとこだわりフランス』(共著)(恒星出版、2003)
8.Balzac Loin de nous, Près de nous(共著)(駿河台出版社、2001)
9.『バルザック— 生誕200周年記念論文集』(共著)(駿河台出版社、1999)
【論文】
1.「デルフィーヌ・ド・ジラルダンの生涯とその作品— 「ロマン派のミューズ」からジャーナリストへ」(大阪府立大学女性学研究センター『女性学研究』第15号、2008)
2.「バルザック『ラ・ラブイユーズ』のタイトルを巡る考察」(名古屋大学大学院文学研究科『バルザック、フローベール 作品の生成と解釈の問題』、2008)
3."Sous le signe des 'monstruosités' : la Camille Maupin de Balzac et George Sand" (George Sand Studies, vol.26, 2008)
4.「与謝野晶子とジョルジュ・サンド— 自由と自立への闘い —(日仏国際シンポジウム「交差する文化 — 日本とフランス」報告書、2007)
5.「恋愛結婚と政略結婚の行く末— バルザック『二人の若妻の手記』」(大阪府立大学女性学研究センター『女性学研究』第14号、2007)
6.「『女流作家』と『女性作家』— バルザックにおける女性作家像 カミーユ・モーパン」(大阪府立大学女性学研究センター『女性学研究』第13号、2006)
3つのモノが語るミニ研究史
この本では、ジェンダーの視点からフランス・ロマン主義文学を読み解き、現代の性の価値観の根源を探った。『マノン・レスコー』や『椿姫』は、真実の愛に目覚めた娼婦が罪を贖って死ぬという恋愛物語として、読者に共感と同情の涙を誘ってきた。しかしそれは男の視点で描かれたもので、ジェンダーの観点から文学作品を読み直す作業を行った。二作品以外にもバルザックの『娼婦盛衰記』『従妹ベット』、ウージェーヌ・シューの『パリの秘密』、ユゴーの『レ・ミゼラブル』など様々な作品を取り上げて考察した。図版やコラムも多数掲載し、文学の初心者でも理解できるよう工夫している。
これは、筆者が出版した本の表紙であるが、中央に悪魔が描かれている。「悪魔との契約」のテーマは、ゲーテの『ファウスト』を初めとして、19世紀のヨーロッパ文学が好んで取り上げたテーマである。迷信など信じないはずの合理主義の時代に何故「悪魔」なのか。「悪魔」とは一体何を表わしているのか。日本でも今、陰陽道やオカルト文学・映画が盛んであるが、それとの関連で考えてみても面白い。
19世紀の挿絵版画家で人気のあったトニー・ジョアノの版画で、娘は恐らくお針子(グリゼット)で、恋人は学生のようだ。当時、パリには一人暮らしのグリゼットが大勢住んでいて、若く陽気でコケットリーな彼女たちは、地方から出てきた学生と知り合って一緒に暮らすことが多かった。ユゴーの『レ・ミゼラブル』に登場するファンチーヌもその一人だが、コゼットが生まれると恋人に捨てられ、彼女は子どもの養育費を払うために娼婦になってしまうのだ。当時の女性の置かれた状況、売春と貧困の結びつきなどを、文学テクストを通じて見ることができる。
研究内容
19世紀フランス文学について。主に「近代小説の祖」と言われるバルザックについて、様々な観点から研究してきた。その一つとして「悪魔との契約」のテーマを取り上げ、もはや「悪魔」という超自然の存在が信じられなくなった近代社会において「悪魔」がどのような形で捉えられているのかをバルザックの作品から探ってみた。また、バルザックの作品における女性像がどのようなものであるか、とりわけ娼婦像に注目して考察してきた。更に、バルザックの作品だけではなく、19世紀ロマン主義文学全体に視野を広げて、そこに描かれている娼婦の姿を、当時の社会・政治・思想を考慮に入れた分析を行い、本にまとめた。また、娼婦像だけではなく、19世紀フランスにおいて女性作家がどのように捉えられ、どのような生き方をしたのか、その生涯や作品を通して分析している。それによって、当時の文化的背景を浮き彫りにし、ジェンダー論とも関連づけて現代にもつながる問題提起を行っていきたい。
研究分野の魅力
19世紀フランス文学と言うと、21世紀の日本から見ると全く関連がないと思うかもしれない。しかし、例えば今、「心の闇」という言葉がよく使われている。実はそれは目新しいことではなく、ちょうど、近代社会が確立された19世紀ヨーロッパにおいて流行した「幻想文学」の中で描かれていることなのだ。自分の内に理性・意識では把握できない他者(=無意識)が存在していることに気づいた時の驚きと不安がそこに既に書き表されている。こうした事実を再発見するためにも、または自分の抱えている様々な問題の答えを探すためにも「古くて新しい文学」を読んでみる必要があるのではないだろうか。
指導方針
まず、フランス語の文献(フランス文学作品や、研究論文、フランス文化に関する資料)を正確に読みこなす力がつくように指導していきたい。次に、原文テクストを更に深く読み込んでいくことで、自分にとって興味のあるテーマを見出し、それに沿った研究を進められるよう指導していくつもりである。そこから何か1つでもオリジナルな考察、面白い発見が生まれれば幸いである。
指導した論文のテーマ
【卒業論文】
「ペロー童話分析」
「『幻滅』―破滅の構造について」
「モーパッサンの小説に登場する動物の役割」
「19世紀フランス文学における犯罪者群像」
「フランスのカフェ文化」
「サン=テグジュペリの『夜間飛行』」
「ドーデの『最後の授業』と言葉の問題」
「フランス革命と食文化」ほか
