人間社会学部

人間科学科

文化形成論

人間社会学研究科

人間科学専攻

人間科学分野

文化形成論科目群

大形 徹

Professor

OHGATA, Tohru

大形 徹

photograph; mingming and
MATSUO Shigeko


Tel.072-252-1161(代表)
(内線2625)


専攻分野

中国思想(神仙思想・霊魂観念)

担当授業

授業科目概要

【学部】
文化形成論入門(水4前)
中国思想の系譜(月2後)
エスニシティと文化1(水4後)
中国思想演習2A(金1前)
中国思想演習2B(金2後)


【総合教育研究機構】
中国の思想(月3後)
教養ゼミナール(中国の古典に学ぶ)(月5)
中国語会話(水2)


【大学院修士】
中国思想特論1A(金2前)
中国思想特論1B(金1後)

【大学院博士】
中国思想研究1A(金4)
中国思想研究1B(金4)

主要著書・論文

教員活動情報

○『魂のありかー中国古代の霊魂観ー』(角川選書、2000)

○『不老不死−仙人の誕生と神仙術−』(講談社現代新書、1992)

○『道教の生命観と身体論』共編(雄山閣出版、2000)

○『中国人と道教』共著(汲古書院、1998)

○『老荘思想を学ぶ人のために』 共著(世界思想社、1997)

○『鑑賞・中国の古典9 抱朴子・列仙伝』共著(角川書店, 1988)


▼詳細リスト

3つのモノが語るミニ研究史

(1) 霊芝

いわずとしれた仙薬であり、いまは漢方薬のお店のショーウインドウにもおかれているキノコだとされている。仙人はこれを食べて不老長生を得たという。それは必ずしもあやまりではないのだが、これがなかなかややこしい。最初は芝とか芝草とよばれていたが、画像石をみるとパルメット型をしており、そうだとするとハスかもしれず、西域からもたらされたものかもしれないのである。

霊芝
霊芝
(2) 泉門の写真

赤ん坊の頭頂の骨のないやわらかい部分を泉門という。中国医学では▲(しん)門という。▲は簡単な文字だが当用漢字にはない。「腦」の文字の右斜め下の「凶」に似た部分が▲である。この部分は脳そのものをさした。古代はここから魂がぬけると考えられたようだ。仙人の仙(僊)(せん)もまた現在、「西」と書かれている部分は▲である。そうすると僊人は本来、魂がぬけ、あの世にいった人ということになりそうである。

泉門の写真
泉門の写真
(3) 篆刻の石と刻した文字

中国のことを調べていると最終的に漢字の語源にまで遡らねばわからないことが多い。後漢の許慎の『説文解字』は篆書の語源を紹介するすばらしい字書だが、いかんせん、漢字ができてから数百年ののちにつくられたものである。そこに紹介されている語源説も許慎が勝手に想像したものであることが多い。文字の意味を調べるには、さらに金文・甲骨文にまで遡り、多くの用例を比較検討しながら推察していくより他はない。篆刻で甲骨文などを刻しているとその筆順まで想像できるのである。

篆刻の石と刻した文字
篆刻の石と刻した文字

著書・論文からの抜粋

▼著書・論文からの抜粋

書評紹介

▼書評紹介

研究内容

中国の神仙思想と霊魂観念について。仙人の伝説、「仙」という文字の成り立ち、霊魂観念について研究している。主要な研究の内容は、神仙思想の構造の解明にある。神仙思想は秦の始皇帝の時に方士が蓬莱山の仙人や仙薬の存在を説いたことに始まる。けれども、「仙(僊)」という言葉の意味は、たんに不老長生した人ではなく、本来、魂の離脱と昇僊に関わる語であり、むしろ、「死」を意味する語であった。その根底には、当時の死生観があったと思われる。初期の仙人には、一旦、死ぬことにより、仙人となる尸解仙があった。仙人の話には仙薬の服用や導引・行気・房中術・辟穀などの気に関る長生術、画像石にみえる仙人などの要素がからまりあって複雑な様相を呈している。神仙思想はのちに道教のなかに吸収されていくので、さまざまな方向・角度からひろく考察しなければならない。

研究分野の魅力

神仙思想は道教を構成する重要な要素である。一般に宗教は、死後の世界のことを構想する。けれども、道教では「不死の仙人」が理想とされているため、はなはだ複雑でわかりにくい。そのわかりにくさの原因は「仙人」にある。いわゆる「仙人」は、長生きして死なない人、空を飛ぶ人等と思われている。けれども、なぜ仙人が不死なのか、また、なぜ仙人が空を飛ぶのか、という基本的な問題に関して、明確に答えられる人は、どれほどいるのだろう。かくいう私自身もまだ明快な解答は出せていないが、わからないから面白い。「仙」の文字は本来、「僊」であった。それは、「死者の魂を僊(=遷)(うつ)す」意味である。そうすると本来、昇僊(昇仙)は本来、魂の昇僊をさしていたことになる。そこに健康のための術である導引・行気・房中術・辟穀などが付加され、肉体をも含めた「不老不死」の人である仙人が生み出されてきた。おおよそ、そういうことになると思われる。だとすれば仙人が不死だというのは、本来、魂があの世で永遠に生き続けることと関連し、仙人が空を飛ぶというのは、魂が飛行して昇僊することと関連があるのではないかと思われる。調べれば調べるほど、わからないことが次から次へとでてきて、悩みは深くなる。資料をこねくりまわして、頭をかかえていると、ある時、はっと、これまでつながらなかったものが、つながって俄然、視界がひらけてくることがある。その瞬間のために研究を続けているような気もする。

指導方針

漢文の原典や中国語で書かれた論考を自分の力で着実に読解できるように指導したい。原典を読みこなす力がなければ、もちろん堅実な研究者になることはできないし、卒業論文だってペラペラのものになってしまう。原典を読むためには、まずテキスト・クリティークを行い、地道に出典を調べるという作業を行わなければならないが、そうした作業を積み重ねるうちに確実に力がついていくはずである。また論文を書く際には、これまでの先行文献をできるかぎり集めて、それらをふまえた上に自らの論を展開させていくように指導する。上記はいずれの分野でもしごく当然のことですが、基礎は大切です。また、ふだんから、あらゆる物事に対して疑問をもち、さらに、その疑問の解決のためには、どのようにすればよいかを考えることのできるような教育ができればと思う。

指導した論文のテーマ

【卒業論文】

「春秋の日食」・「羽人について」・「端午の節句」・「気功について」・「心包絡について」・「『老子』について」・「吉祥図案の蝙蝠について」ほか

【修士論文】

「葛洪の『抱朴子』にみえる方士(副査)」・「日中の庭園にみえる石について(副査)」ほか


Get Adobe Reader