教員紹介
言語文化学分野
– 教員紹介
人間社会学専攻
言語文化学分野 教授青木 賜鶴子
研究内容
平安時代の物語・和歌、及びその受容史の研究
私の研究分野は、平安時代の物語・和歌と、その注釈史・享受史です。中心は伊勢物語で、本文の解釈、注釈史、享受のあらわれとしての絵画作品、主人公のモデルとされる在原業平及び業平集の研究をしています。その成果に『伊勢物語絵巻絵本大成』(角川学芸出版、2007、共著)、『宗達伊勢物語図色紙』(思文閣出版、2013、共著)があります。また平安時代の歌語の集大成として名高い順徳院の歌学書『八雲御抄』について、『八雲御抄の研究』(和泉書院、枝葉部言語部1992、正義部作法部2001、名所部用意部2013、共著)を出版しました。完結まで20年以上かかった共同研究です。本学図書館所蔵の貴重書の研究にも取り組んでいます。たとえば萩原広道『源氏物語評釈』は版本5種のほか、その元になった版木が48枚所蔵されています。消耗品である版木が残るのは珍しく、源氏物語関連では他に類を見ないものです。
あなたも図書館のお宝を発掘してみませんか。
shiz[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 教授奥村 和子
研究内容
アクセント史を中心とした日本語の音韻
日本語の歴史、中でも文献による京阪アクセント史の研究が主なテーマです。
日本語のアクセントは音の高低によるものですから、音楽との相性が良く、殊に古くから謡い語りながら受け継がれてきた平曲や浄瑠璃などには、語られていた当時文化の中心地であった京阪のアクセントが反映していると考えられています。その譜からアクセントを読み解き、古代から現在に至る京阪アクセントの変化に見られる規則性について、複合語の一語化に伴う音形変化(連濁、音便など)との関係を中心に考察しています。
また近年は上記から派生したテーマとして、音便の現れ方と待遇表現のかかわりや、待遇表現から見た平家物語の人物像の再検討なども行っています。
メッセージ
古くから日本文化の中心であったここ京阪の地で、ことばの歴史をたどってみませんか。
okuk[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 教授相田 洋明
研究内容
W. フォークナーを中心とするアメリカ南部文学/アメリカ現代文学/英語メディア研究
アメリカ文学で、大学院生の頃からフォークナーの研究をしています。現在取り組んでいるテーマは、フォークナーの妻エステルがフォークナーに与えた影響です。フォークナーの伝記のなかでは、エステルは悪妻としてだけ扱われていますが、彼女も作品を書いていて、しかもその作品が作家フォークナーの誕生をもたらしたという主張を行っています。フィッツジェラルドと妻ゼルダの関係は有名ですが、エステルの名も今後は文学史に登場するかもしれません。1920年代の上海の租界を舞台にした彼女の短編がフォークナーに与えた影響については、すでに論文を書きました(『フォークナー』第15号)。エステルの上海を媒介にして、フォークナーと横光利一(『上海』)や芥川龍之介(『上海游記』)を同じ地平で考察できるかもしれないと考えるとわくわくします。もう一つ取り組んでいるのが、批判的ディスコース分析という分野です。こちらについては、昨年研究者仲間と翻訳書を出版しました(『ディスコースを分析する』くろしお出版)。文系の学者は孤立しがちです。その意味で、大学院でともに研究する仲間を見いだすのはとても大切なことだと思います。
メッセージ
アメリカ文学・文化を深く、広く、学ぶことの喜びを共有しましょう。学問は面白いですよ。
soda[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 教授高木 佐知子
研究内容
談話ストラテジーや会話の構造の考察/メディア・ディスコースの分析
私は、「談話分析」という分野において、意味伝達と解釈のメカニズムの明確化を中心に実証的な研究を行っています。語用論の立場からテクストを分析し、そこに見られる相互行為のストラテジーや伝達されるメッセージの考察を行っています。
この「談話分析」は、社会・文化に根ざした意味の伝達・解釈という視点を意識したものであり、私たちの現実の一側面を研究できる分野だと考えています。
メッセージ
言語使用研究の奥深さを経験してください。
takagi[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 教授徳永 アン
研究内容
応用言語学・英語教育学・選択体系機能言語学
I am interested in understanding how English works to achieve certain goals in a variety of social contexts, including academic writing, everyday spoken English, fiction, and media. The framework I use for describing, analyzing and evaluating how English language is used is Systemic-Functional Linguistics (SFL) which is an approach to language developed mainly by M.A.K. Halliday in the U.K. during the 1960s, and later in Australia. SFL is closely aligned with Sociology and to the field of Pragmatics and focuses more on language function (what language is used for) than on language structure (how language is made up). It explores the discourses we produce (whether spoken or written), and the contexts of the production of these texts. This approach is now used around the world, particularly in education, and for purposes of discourse analysis.
メッセージ
I look forward to introducing you to this functional approach to English grammar which I am sure will help you develop the ability to analyse texts across a variety of genres and to better understand how language works and how meanings are made.
tokunaga[at]las.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 教授西田 正宏
研究内容
歌学を中心とする学芸史の研究
いわゆる古典が中世から近世にかけてどのように読まれてきたのかについて、研究しています。特に地下(じげ)の歌人たちが、先学の研究を継承しつつ、どのような注釈を施しているのかを、流派の問題なども勘案しつつ、考えています。それは「国学」から「国文学研究」さらに「日本文学研究」へと継承されてゆく学問の始発と展開を考えることにもつながります。また江戸時代のことを考えるときに「出版」のことは避けて通れませんから、歌書の出版についても検討しています。最近は歌人(実作者)と学者の注釈(研究)の視点の違いなどについても考えています。基本的に活字になっていないものをしっかりと読むことが中心の研究です。
メッセージ
うちの研究室では、本学所蔵の江戸時代以前の古典籍を題材に、くずし字が読めるように、勉強しています。文字通り、読めないことには話になりませんからね。
nymar[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 教授山﨑 正純
研究内容
明治以降の文学とナショナリズムとの関連性の考察/明治以降の思想と思想評価の座標軸の考察
森鴎外「舞姫」や夏目漱石「こゝろ」には、近代の日本に特有の思惟様式とでも言うしかないような特徴を読み取ることができます。それは主人公の太田豊太郎や先生が書く手記(手紙や日記)の中に克明に記されているものです。ごく掻いつまんでそれを表現するなら、超越者の不在によって生じる内面の誕生です。超越者というのは、世界を意味づける原点であり、罪や救いもまたそこから降り注ぐ光によって言語的に表層化し、社会的に認知されて、内面的なものは公明正大な公共財となります。しかし、日本の近代には、内面が表層化する仕組みがないまま、非常に後ろ暗い痛恨、悲愴な心情の壺として、心が生成します。この心情の壺を、どうすれば割ることができるのか。日本の近代文学は、この問いをめぐって様々な解を読者に提示してきたのです。近代文学の研究は、心の壺をめぐる読者と作者との対話の歴史を書くことだと言えるかもしれません。
メッセージ
文学研究の窓から世界を見ると、政治も経済も国際関係も自分の言葉で理解することができるようになります。
yms[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 准教授中村 直子
研究内容
ドイツ語の複合動詞の造語法、正書法における問題/言語(学)と社会の関わりに関する研究
ドイツ語には、学習用文法書では「分離動詞」と呼ばれる、2パーツに分離する動詞があります。特別なものではなく、ごく日常的に使われる動詞も含まれています。この動詞がひとつの「語」であるか否か、それを考える上では、正書法規則が欠かせません。正書法は、日本語ではなじみのないものですが、おおざっぱにいうと「綴り方の規則」です。20年ほど前、ドイツでは、「正書法改革」と呼ばれる、正書法規則の改訂が行われました。そのときのメディアで報じられた、様々な騒動、社会現象を見聞きして、これはただ、言語のみの問題ではなく、それを使う人間、さらに人間社会と関わりのある問題だと思うに至りました。過去の正書法規則をさかのぼってみても、そこにはそれを作った人の顔が見えます。規範=実際の言語使用にならないのは、言語(と人間)の面白さです。
今も変わらず、分離動詞やそれに類するものが「語」とみなされる境界には、(ある意味では明確な境界線を引くこともできますが)幅のある周辺領域があるということについて、研究しています。
メッセージ
日本語にも「洗い落とす」などの複合動詞があります。ひとつの言語にこだわるもよし、複数の言語を比較対照するもよし、アプローチを変えて見るもよし、言語の面白さを多面的に研究してみましょう。
nkmr_na[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 准教授宮畑 一範
研究内容
日本語・英語語彙の多義構造の研究/ことばの意味と理解に反映される人間の認知メカニズム
みなさんは、これまでことばの意味について考えてみたことがありますか? え、なにそれ!?...なんて思ったかもしれませんね。やっている分野は認知言語学。ことばの成り立ちや振る舞いから人間の精神作用を考えます。そんなことをマジメに研究しているのが私です(笑)。はたと気づけばこの世界にはまりこんでいました。ことばをじぃー... とひたすら観察して、そこに隠されたナゾを解き明かすのです。 たったひとつの真実見抜く...(コ○ンかよ) あ、そうか!、というひらめきは稲光よりもまばゆく、ナゾ解きの喜びはカ・イ・カ・ンです。かと言って、研究は地道な積み重ね。 体力・気力どちらも必要。健康第一! 身体が資本! 栄養と英気を養うには、美味を飲み食いしましょう☆ずっと続けることで、おのれの血となり肉となる。同じく、おのれの知となり才となる。身につくものを広くバランスよく。これいずれもの理なり。のっけから大きな仕事はできません。最初はみんな若葉印。小さなことをコツコツと。継続は力なり。焦らず慌てず。 今できることをやればいい。りんといつもカッコよく...そんな研究者に私はなりたい(願望かいっ!) 研究は究極のものづくり。これで終わり、はありません。日々精進。
メッセージ
ことばには、わたしたち人間が長年積み重ねてきた認識と思考が刻み込まれています。ことばに脈打つ人間の精神の営みを紐解いてみませんか?
kazm[at]lc.osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 准教授森田 耕平
研究内容
現代日本語の動詞の中止形の記述的研究
専門は現代日本語の文法です。中でも、動詞の「中止形」と呼ばれる活用形の一つを対象として、文のなかでの意味と機能を明らかにするために、実例に基づいた記述的研究に取り組んでいます。中止形とは、「窓を{開け/開けて}、外を見た」の文の「開け」「開けて」のような形式のことです。現代日本語では使用頻度が高く、幅広い意味や機能をもつ形式です。
分析では、抽象的で統一的な原理のみで説明しようとするのではなく、その形式が言語活動では実際にどのように使用されているのかを、一見説明しがたい例外的な場合や、文法にとどまらない文体や表現上のニュアンスといった側面をも観察することを重視しています。そのようにして実際の例と「格闘」し、少しずつ体系的な記述を編み上げていくことが、現実のことばが持つ弾力性や表現の豊かさを明らかにし、教育や創作といった実際の使用のヒントにもつながるのではないかと考えています。
メッセージ
研究テーマの決定や、観察・分析・記述のプロセスになかなか近道はありませんが、試行錯誤しながら、地道に探索を進めていきましょう。
tkm36053[at]osakafu-u.ac.jp
人間社会学専攻
言語文化学分野 准教授楊 眞淑
研究内容
社会言語学
I am interested in how language is connected to social difference and ineuqality. I view that language learning/use is about getting access to power and about gaining authority to speak and to be heard. My current research traces the sociopolitical history of Koreans in Japan, and the role of Korean/English/Japanese therein.
メッセージ
I believe that good research often starts with a simple question: why?
jinsuk.yang[at]lc.osakafu-u.ac.jp