研究科の魅力を語る

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VOICE 研究科の魅力 教員からのメッセージ for 2017

学生の声 教員からのメッセージ  研究科長からのメッセージ

宮畑一範

言語文化学専攻 准教授

【専攻分野】
認知意味論。日本語・英語語彙の多義構造の研究/ことばの意味と理解に反映される人間の認知メカニズム

なさんは、これまでことばの意味について考えてみたことがありますか? え、なにそれ!?...なんて思ったかもしれませんね。
っている分野は認知言語学。ことばの成り立ちや振る舞いから人間の精神作用を考えます。そんなことをマジメに研究しているのが私です(笑)。
たと気づけばこの世界にはまりこんでいました。ことばをじぃー... とひたすら観察して、そこに隠されたナゾを解き明かすのです。
ったひとつの真実見抜く...(コ○ンかよ) あ、そうか!、というひらめきは稲光よりもまばゆく、ナゾ解きの喜びはカ・イ・カ・ンです。
と言って、研究は地道な積み重ね。 体力・気力どちらも必要。健康第一! 身体が資本! 栄養と英気を養うには、美味を飲み食いしましょう☆
っと続けることで、おのれの血となり肉となる。同じく、おのれの知となり才となる。身につくものを広くバランスよく。これいずれもの理なり。
っけから大きな仕事はできません。最初はみんな若葉印。小さなことをコツコツと。継続は力なり。焦らず慌てず。 今できることをやればいい。
んといつもカッコよく...そんな研究者に私はなりたい(願望かいっ!) 研究は究極のものづくり。これで終わり、はありません。日々精進。

東 優子

人間科学専攻 教授

【専攻分野】
「性の健康と権利」にかかわる諸問題、とくに社会的支援システムに関する研究

 卒論制作の段階では引用できる文献を探すだけで精一杯、という人が多いものですが、大学院では引用する価値のある文献とそうでないものを見極めることが求められるようになります。科学的言説をクリティカルに読み解く力を涵養する、というのが大学院教育のひとつの目標です。
 私が大学院で学び始めた頃も、「教科書や論文に書いてあることを徹底的に疑え」と教えられました。さらには、「科学は宗教ではない。宗教(の教え)は変化しないが、科学(におけるエビデンスや言説)は常に変化するものである」とも。たとえば、「…である」と「…であるかもしれない」「…であるべきだ」というのは、常に明確に区別されるべきですが、残念ながら、実際はそうでもないのです。私の専門は性科学で、とくに「性」に関する語りには、必ずといっていいほど、個人の感情や態度が伴います。そして、そうした個人や社会の都合は、「事実」さえも変色させてしまうことがあるのです。それは歴史が証明しています。
 恩師の教えには、「よい研究者になるためには、あらゆる可能性についてオープン・マインドであれ」というのもあります。心の目を開くには、まず自分自身の価値観や態度と向き直すことが必要になります。ぜひそのプロセスを楽しんでください。

伊藤嘉余子

社会福祉学専攻 教授

【専攻分野】
子ども家庭福祉論/社会的養護のあり方に関する研究/児童養護施設におけるソーシャルワーク/施設における養護内容・実践

 社会的養護に関する研究をしています。
子ども虐待、親の精神疾患、貧困など何らかの事情によって、親と一緒に暮らせない子どもに社会が提供する養護(養育・保護)のことを社会的養護といいます。社会的養護には大きく「施設養護」と「家庭(里親や養子縁組等)養護」があります。そうしたレパートリーに関わらず、親と一緒に暮らせない子どもにとっての「最善の利益」を保障し得る社会的養護のあり方について、マクロ(法制度)、メゾ(施設の運営管理や地域での里親支援など)、ミクロ(子どもの養育/ケアのあり方)といった視点から考究しています。なかでも近年は、社会的養護経験者のアフターケアや里親支援に関する研究を中心に行っています。
 調査や研究を通して、社会的養護を担う施設職員や里親の方、社会的養護の下で育った当事者の方たちと多く出会います。彼らとの関わりを通して、「家族とは何か」「親とは何か」について深く考えさせられます。親からの虐待や養育放棄によって、多くの人が「当たり前」と思っている生活を奪われた子どもたちのために、社会がすべきこと、私たち一人ひとりがすべきことについて考え、発信することを大切にしています。

瀬田和久

現代システム科学専攻 教授

【専攻分野】人を系に含む人工知能システム

 インターネットの普及は大量かつ多様な情報を容易に利用可能とする社会的変革をもたらすとともに、それを利活用する情報処理技術の進歩は私たちの行動・意志決定の様式にも大きな影響を与えています。一方で、人を対象とする認知科学、学習科学などの諸分野における知の蓄積は、人が頭の中で営む思考活動、働き、その熟達の過程など、私たち自身についての理解を深化させています。
 このような認識のもと「知的なコンピュータの実現」と「人の学びの質の向上」の両立を目指した研究課題に取り組んでいます。人の学びに関して解明されてきた知見をコンピュータに組み入れることで、それをコンピュータにも理解することができたら、これまでは対象化しにくかった新しい学びを創出できるのでないかと考えています。学習というと、国語や数学、理科、社会など教科の学びを想像されるかと思うのですが、最近の私の興味は、学習スキルと呼ばれるような「学びの方法そのものの学習」や「学習のために提示された事例についてのより一般的、抽象的な知識構成」といった、学習対象が目に見えない、潜在的で高次の学びを情報技術の高度化により対象化して支援する仕組みを実現することです。

奥村和子

言語文化学専攻 准教授

【専攻分野】
日本語学。アクセント史を中心とした日本語の音韻史

 『見上げてごらん夜の星を』という曲をご存じでしょうか。1963年に発売され大ヒットしたこの曲は、半世紀以上を経た今なお多くの歌手によって歌い継がれています。日本語アクセント研究の第一人者であった金田一春彦博士は、この曲を「(歌詞の東京式)アクセントによく合う旋律をもつ」と評しました。人々の耳になじみ長く親しまれてきたのにはそんな理由もあるのかもしれません。
 日本語のアクセントは音の高低によるものですから、音楽との相性がいい。殊に古くから謡い語りながら受け継がれてきた平曲や浄瑠璃などには、語られていた当時のアクセントが反映していると考えられています。その譜からアクセントを読み解く努力は、日本語のアクセント史の研究を大きく進めました。ですが、そこから見えてくるのは東京ではなく、京阪のアクセントの歴史です。
 日本の政治や経済、文化は古くから近畿を中心として栄えてきました。ですから昔の文学作品の多くは京阪のことばで書かれ、読まれ、受け継がれてきたのです。古のことばがどのような過程を経て今私たちが使っているようなものになったのか、ここ大阪の地でことばの歴史をたどってみませんか。

酒井隆史

人間科学専攻 教授

【専攻分野】
現代社会を権力論の視点から分析/都市における文化表現

 いま私の大学院の研究室には、次のようなテーマに取り組んでいる学生たちがいます。フランスの思想家ポール・ヴィリリオ、1970年代の日本のドキュメンタリー、映画における女教師の表象、大阪の闇市の盛衰、沖縄の近代化について、などなどです。わたし自身の研究も、これらのテーマに通底しているような、思想、文化、歴史のまじわるところに関心をおいています。
 いま大学院の演習では、長期的視点、比較史的視点から、資本主義とはなにか、市場とはなにか、貨幣とはなにか、国家とは、暴力とはなにか、などをテーマにして、2011年公刊の人類学者David Graeberによる著作『Debt』(『負債』)の講読を中心におきつつ、さまざまな人類学や民俗学、歴史学の文献を読んでいます。
 市場システムや地球環境がふかい危機におちいりながらも次の展望がみいだせず迷走のつづくなか、近現代社会について、いま、人類史的—のぞむべくは地球史的—視野から、大きくとらえ返すことが必要であると考えています。

吉武信二

社会福祉学専攻 教授

【専攻分野】
健康福祉・教育、スポーツ科学。効果的な健康維持増進、ダイエット、トレーニングの方法及び支援に関する研究

 誰もが豊かな気持ちで幸福に過ごせる社会を実現するためには、従来の社会福祉研究に加え、医療、保健、教育など幅広い学問を積極的に応用する必要があるといわれています。なかでも、人々の健康を増進するための施策や指導は、非常に重要な要素のはずですが、その具体的な支援方法についてはまだまだ発展途上であるのが現状です。
 私の研究テーマは、この人々の健康支援に関することを中心に、健康福祉・健康教育・身体教育・スポーツ科学など、幅広い研究領域に関連した内容になっています。元々は、自分自身が陸上競技のアスリートであり、学生時代からスポーツ科学領域を中心に、競技力を向上させるための効果的なトレーニング方法や指導方法などを研究してきました。そこで、研究は実践につながってこそおもしろいものとなることを強く実感し、現在もそれが私のベースになっていて、私たちの日常生活に潜んでいる身近な健康問題について、個々の事情に合った具体的な改善策を検討しています。この身近でありながら、未だ確立しきれていない人々の健康支援の具体的方法について、これから大学院に進学される方々と一緒に追究していきたいと考えています。

星 英之

現代システム科学専攻 准教授

【専攻分野】
ヒトと動物の共生/食中毒細菌の病原因子解析

 専門分野は、公衆衛生学です。その中でも、特に「人と動物との共生」をテーマに、飼い主のいない猫、獣害で問題となっているシカやイノシシなどを対象に、「人と動物との軋轢」を解消するための研究を行っています。  「人と動物との軋轢」は、一見「人」対「動物」の問題に見えますが、実は、その問題に関係する「人」対「人」 の問題でもあります。私達の研究室では、公衆衛生学・食品衛生学を主軸に、異なる研究分野のアプローチも取り入れる「異分野融合研究」で問題解決システムの構築に挑んでいます。  私達の研究室が中核となる長崎県対馬市との連携協定事業では、「“獣害”から“獣財”へ」をスローガンに、総合リハビリテーション学研究科の黒川先生と安全・高品質・高価値な食肉製品の開発・製造・販売によって、シカ・イノシシを地域の資源“獣財”へとイメージ変容可能にするシステム構築について研究を行っています。  自分の研究分野の視点だけではなく、異分野の視点も尊重しながら研究を行える人材を求めています。そして、皆さんと今はマイナス価値なものが、地域の“財”になる瞬間を一緒に見たいと考えています。

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